eワラントって何?

そもそも、eワラントって何?

最近でこそ株取引は単位株制度から単元制度にかわり、売買単位が1株や100株など買いやすくなりました。また、ミニ株などさらに単元の 10分の1の取引ができる制度もあります。しかし、もともと売買単位が1で価格の高いものはなかなか手が出しにくいのが現状。もちろん、1株以上に分割で きない株は、ミニ株の取り扱いはありません。

そんななか、登場したのがゴールドマンサックス社のeワラントです。現在は、eワラント証券が発行しています。

eワラントとは、簡単にいってしまえば、株そのものを取引するのではなく、その株がある期日にある金額より上であるか、また下であるかで権利が発生し、その権利を売買するというもの。…、ただ、そんなことは実は頭の片隅においておけばいいことであって、eワラントを取引する際には忘れてしまってもいいこと。

eワラントの取引で肝心なのは、

  • 元金の数倍から、数10倍以上の投資効果が得られる取引ができる
  • 満期日(期日)というものがあり、その満期日に条件を満たしていなければ元金は0となる(失われる)
  • 満期日に近づくほど、価値は下がる
  • 投資元金以上の損失はない

などですが、詳細は以降にゆずるとして、基本的なスタンスは、株取引と同じ。上がるか下がるかを予想して、収益を得ること。eワラントはそれに、時間的要素が加わったものといえるのです。

 

実際の画面で、どんなものか感じてみよう

sonycall207

まず、1行目の太字「ソニー コール 207回」。これは、投資の対象とする株式が『ソニー』で、ワラントの形式が『コール』、「207回」は『ソニー コール』でもいろいろなタイプ、また終了したものもあるので区別するための回数だと考えていいでしょう。
『コール』とは対象株式などが今後上昇すると価値が上がるワラントで、逆に下降すると価値が上がるものは『プット』といいます。

3行目の「満期日」は、そのワラントが取引できる期日です。
また、「満期日」に4行目の「権利行使価格」よりコールの場合は上回っていれば、規定の価値がつき、償還されます。ただし、覚えておいていただきたいの は、あくまでこの「満期日」というのは『期限日』であって、対象株式が今後上昇が見込めない、ワラントがこれ以上上がらないと思えば、「満期日」以前でも 売却することが可能です
むしろ、「満期日」までワラントを持ち続けるというほうがまれで、ある程度のリターンが発生したところで売却してしまうことの方が断然多いでしょう。

5行目の「1WRあたりの株数」は1ワラントあたり何株を対象としているかです。あまり気にしなくていいと思いますが、この株数が多いほどワラントの価格は高くなります。

6行目以降の「実効ギアリング」「デルタ」「プレミアム」「ギアリング」「スプレッド」は【詳細編】で詳しく解説しますが、「実効ギアリング」(「デルタ」と「ギアリング」を単純に掛け合わせた数値)が大きくなるほどレバレッジ(てこの効果。ギアリングと同じ意味で、投資した金額に対してどのくらいの効果があるか)が高くなります。つまり、これが高いほど株式の動きに敏感で、ハイリターンが得られることもありますが、リスクも大きいでしょう。

例えばきょうが3月20日で、A銀行の株が対象で、権利行使価格が150万円、満期日4月12日と7月19日のコール(上昇期待)のワラントがあるとします。これらの実効ギアリングは前者が7.14、後者が4.13。

きょうのA銀行の株価が178万円で、あしたには10万円上がって188万円だとすると、前者のワラントの価格は約1.2倍、後者は約1.1倍となりま す(あくまで、例として計算しています)。きょうがいつかと指定したのは、ワラントが時間の要素を持っているからです。基本的に満期日が近いほど、ワラン トの値動きは荒くなります。

あまりあり得ることではないでしょうが、満期日直前に権利行使価格を挟んで株価が上下すると、ワラントは劇的な動きをすることがあります。前日に1ワラ ントあたりの価格が0.1円を切っていた場合でも、権利行使価格を挟んで上がった場合(「コール」の時)、1ワラントの価格が一気に1円を超えることもあ ります。つまり、短期に10倍以上の利益を得ることもできるのです。ただし、逆の場合は損失を被りますが、投資金額以上の損失はあり得ません。

 

次は、eワラントの長所と短所を解説します。